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いちいち、つみかさね

読めないを恐れず、つむ

佐藤裕(2016)『ルールリテラシー』

主に仕事においてだが、組織を安定して運営する難しさ、人に適切に指示を与えつつ「指示待ち」にならないように仕向ける難しさ、みたいなものを感じていた*1。そこでのこの一冊。ルールリテラシー、すなわち「ルールというものを正しく理解し、それを適切に運用できる技術」が上にあげた難しさ解決の一助になることを期待した。

ルールリテラシー 共働のための技術

ルールリテラシー 共働のための技術

雑感箇条書き

  • ペナルティによってルールを守らせることはできない:ペナルティを避けるという「別ゲーム*2」に誘導してしまう可能性がある。ペナルティを全否定するのではなく、こういった危険性があることを認識しなければいけない。
  • 直接ルール(社会的カテゴリーと行為が直接結び付けられているルール)と間接ルール(社会的カテゴリーと行為が間接的に結び付けられている)の違いを理解しなければならない:例としてあげられているのは「学生は教員の指示に従わなければならない」というルールで、この場合強制されることが明示されず、特定の人の判断に委ねられている。

いわゆる「指示待ち」の原因の一つはここにあるのだろう。

  • ルールは社会的カテゴリーと結び付けられることによって論理的な強制力を持つ:ペナルティによる強制を(一部)否定したところで、では人はなぜルールを守るのか。その答えの一つがこれ。すなわち、ルール違反が社会的カテゴリーからの離脱を意味する場合(例えば、教師であれば「授業をする」というルールを破れば、教師という社会的カテゴリーからの離脱を求められる)において、ルールの論理的な強制力が発揮される。
  • 本書を読んだ動機に対して、明確な答えやテクニックを提示してくれるものではないけれども、ルールというものはゲーム(志向性を持つ営み)の一部であり、その場面において機能するという点は意識しておく必要があると思った。

*1:正確に言うと、私はそうした難しさを感じられるほど上級役職ではないので、難しさを感じている人が近くにいた、と言うべきか

*2:本書では「ゲーム」という言葉を志向性を持つ営み、という意味で使っている